『捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです』は、夫から「君を愛するつもりはない」と告げられたメルフィーナが、自分の力で領地を発展させていく物語。
序盤だけを読むと、メルフィーナはアレクシスと別れ、別の男性と結ばれるようにも見えますが…。メルフィーナは最終的に誰とくっつくのでしょうか。
今回はメルフィーナとアレクシスの関係やセドリックとの間柄、作品の恋愛要素について、ネタバレを含めて考えてみました。
※原作小説・Web版のネタバレを含みます。
メルフィーナは誰とくっつく?相手はアレクシス
結論からいうと、メルフィーナの恋愛相手となるのは夫のアレクシスです。
二人は政略結婚によって夫婦になりますが、結婚当初はとても「本当の夫婦」と呼べる関係ではありませんでした。
初夜にアレクシスから「君を愛するつもりはない」と突き放されたメルフィーナ。
新しい家族に受け入れてもらえるかもしれないと、わずかな期待を抱いていたメルフィーナにとって、この言葉は衝撃的なものでした。
そこで彼女はアレクシスに愛情を求めず、その条件として自分の領地としてエンカー地方を要求。その土地で領主として新しい人生を歩み始めます。
しかしアレクシスとメルフィーナ二人の関係はそこで終わりません。
領主同士として付き合っていくなかで、少しずつ相手の考え方や人柄を理解し、信頼関係を築いていきます。
形式だけの夫婦だった二人が、本当の意味で夫婦になっていく。
それが、この作品の恋愛面における大きな流れの一つです。
アレクシスは本当にメルフィーナの恋愛相手なの?
物語の序盤では、アレクシスをメルフィーナの恋愛相手として見るのは難しいかと…。
何しろ新婚初夜に妻を拒絶した人物です。
いくら政略結婚とはいえ、これから夫婦として生きていくはずの相手に「愛するつもりはない」と初夜に告げるのは、あまりにもひどい仕打ちでしょう。

後日、側近オーギュストが「気の弱い婦人なら、初夜を拒絶されたら命を絶っていてもおかしくなかった」とアレクシスに注意するシーンがあります。
ただし、物語が進むにつれて、アレクシスが単純に冷酷な人物ではないことが分かってきます。
メルフィーナを突き放したことにも、実は深い理由がありました。
もちろん、事情があったからといって、メルフィーナを傷つけた事実がなくなるわけではありません。
それでも、アレクシスの立場や抱えていたものを知ることで、最初に受けた印象は少しずつ変わっていきます。
一方のアレクシスも、メルフィーナと領主同士として関わるうちに、彼女の能力や領民を思う気持ちを知っていきます。
最初から恋に落ちていたわけではありません。
領主として認め、ひとりの人間として信頼し、その先で恋愛感情が生まれていくのです。
すでに夫婦なのに、結婚してから相手を知り、恋愛関係になっていく。
二人の関係は、いわば「結婚から始まる恋」なのだと思います。
メルフィーナはアレクシスを許したのか
メルフィーナは、一時期アレクシスをかなり鬱陶しく思っていました。
当然ですよね。
新婚初夜に一方的に拒絶され、自分の人生を自分で立て直そうとしているところへ、夫が領主として関わってくるのです。
ただメルフィーナは感情だけで相手を判断する人ではありません。
自分に対する夫としての態度には腹を立てながらも、アレクシスが「領民思いの良い領主」であることは認めていました。
夫としては最低の始まりだったけれど、領主としての能力や責任感まで否定していたわけではないのです。
だからといって、メルフィーナがすぐにアレクシスを許したわけではありません。
貴族の政略結婚で新妻を初夜に突き放すというのは、やはりあり得ないことです。
メルフィーナの傷ついた気持ちが、事情を聞いただけで簡単に消えるはずもありません。
それでも領主同士として関わり続けるなかで、アレクシスの考えや行動を知り、少しずつ理解できるようになっていきます。
アレクシスもまた、自分がメルフィーナにしたことと向き合い、彼女との関係を築き直そうとします。
メルフィーナは過去をなかったことにしたのではなく、その後のアレクシスを見たうえで、徐々に許せるようになったのでしょう。
この時間のかかる関係の変化が、とても丁寧に描かれています。

カレヤタミエ先生の文章力は本当に凄いです!!!
アレクシスとの復縁・夫婦関係の再構築はある?
メルフィーナとアレクシスは、そもそも離婚していません。
そのため「復縁」というよりは、形だけだった夫婦関係を一から作り直していくという表現のほうが近いと思います。
二人は別々の場所で暮らし、それぞれ領主としての責任を果たします。
そのなかで必要に応じて協力し、ときには意見をぶつけながら、少しずつ相手への理解を深めていきます。
アレクシスが突然溺愛夫になりメルフィーナがそれを受け入れて終わるような、単純な展開ではないところもこの物語の魅力です。
信頼できる領主同士になり、かけがえのない相手になり、やがて本当の夫婦になっていく。
二人の関係がゆっくり変化していくからこそ、読んでいる側も納得できるのだと思います。
セドリックはメルフィーナにとって何?
メルフィーナの近くにいる男性として、気になるのが護衛騎士のセドリック。
いつもメルフィーナのそばにいて、彼女を守り、領地づくりも支えているため、恋愛相手になるのではないかと思った人もいるかもしれません。
しかしセドリックはメルフィーナを主として敬愛しているのであって、恋愛対象として好いているわけではありません。
そもそもセドリックは、アレクシスからの信頼が非常に厚い人物。
遠く離れたエンカー地方の領主となる妻・メルフィーナを守るため、その護衛騎士として選ばれました。
つまり、アレクシスが自分の妻を任せられるほど信頼している騎士なのです。
物語当初のセドリックは、とにかく真面目で融通が利かない堅物でした。
けれどもメルフィーナによって変わっていくエンカー地方で暮らすうちに、セドリック自身も良い方向へ変化していきます。
セドリックとメルフィーナの関係も魅力的ですが、それは恋愛ではなく、主従としての強い信頼関係です。
恋愛に発展しないからこそ、この二人の関係には独特の良さがあります。
『捨てられ公爵夫人は』は恋愛もの?領地経営もの?
『捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです』は、恋愛要素のある作品ですが、メインはあくまでも領地運営です。
メルフィーナが前世の知識を生かし、食料や住居、仕事などの問題を一つずつ解決していく過程が、物語の大きな軸になっています。
とはいえ単なる領地改革のお話とも少し違います。
この作品では、登場人物たちの心理描写がとても細やかに描かれています。
メルフィーナやアレクシスだけでなく、セドリックをはじめ、彼女の周囲に集まる人々も、エンカー地方での暮らしや出会いを通して変化していきます。
そのため、私の印象では「ヒューマンドラマ+領地運営」という表現が一番近いです。
恋愛だけを目的に読むと、なかなか関係が進まないと感じるかもしれません。
けれども領地が発展していくのと同時に、人と人との関係も少しずつ育っていく。
その積み重ねの先に、メルフィーナとアレクシスの恋愛もあります。
『捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです』はどこで読める?
『捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです』は、小説家になろうで現在も連載されています。
Web版なら無料で読めるので、まず作品の雰囲気を知りたい人にもおすすめです。
また、本作は『このライトノベルがすごい!2026』で、新作単行本・ノベルズ部門第2位、単行本・ノベルズ部門第15位にランクインしています。
領地運営を中心にしながら、登場人物たちの心情や関係性を丁寧に描いた物語が、高く評価されている作品です。
書籍化小説版は第4巻まで刊行
書籍化小説版は、2026年5月現在、第4巻まで刊行されています。
そのうち第1巻から第3巻までは、Kindle Unlimitedの読み放題対象です。
3冊の合計金額は3,564円分なので、Kindle Unlimitedを利用している人なら、かなりお得に読むことができます。
私も最初はKindle Unlimitedで読み始めましたが、続きが気になって、どんどん読み進めてしまいました。
なお、書籍化小説版には、すべての巻に書き下ろしSSが収録されています。
小説家になろうで本編を読んでいる人でも、書籍版ならではのエピソードを楽しめるのがうれしいところです。
登場人物たちの本編では見られない一面や、関係性をより深く知りたい人には、書籍化小説版もおすすめです。

コミカライズは第2巻まで刊行
コミカライズ版は、2026年5月現在、第2巻まで刊行されています。
第1巻と第2巻の両方に、書き下ろしSSが収録されているのも魅力です。
コミカライズを担当している柑奈まち先生の作画は、とても丁寧で美麗。
原作のイメージを損なうことなく、メルフィーナやアレクシス、セドリックをはじめとする登場人物たちが、生き生きと描かれています。
エンカー地方の風景や領地での暮らしも分かりやすく描かれているので、小説だけでは想像しにくかった場面を、目で見て楽しめるのもコミカライズ版の良いところです。
まずは物語を無料で読みたい人は小説家になろう、書き下ろしSSも楽しみたい人は書籍化小説版、登場人物やエンカー地方の様子を美しい絵で見たい人はコミカライズ版を選ぶとよいでしょう。
まとめ
『捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです』で、メルフィーナの恋愛相手となるのはアレクシスです。
二人は最初から愛し合っていたわけではなく、政略結婚を厭うアレクシスの拒絶によって、最悪に近い状態から夫婦生活が始まります。
それでも領主同士として関わるなかで、お互いの能力や人柄を知り、信頼関係を築いていきます。
メルフィーナは過去の仕打ちを簡単に忘れたわけではありません。
アレクシスも事情があったから許されて当然という態度ではなく、自分の行動と向き合います。
時間をかけて相手を理解し、形式上の夫婦から本当の夫婦になっていくところが、二人の関係の魅力です。
またセドリックはメルフィーナを深く敬愛していますが、恋愛相手ではありません。
メルフィーナとセドリックの間にあるのは、主従としての強い信頼です。
この作品の中心は領地運営ですが、登場人物たちの心の変化も丁寧に描かれています。
領地が豊かになっていく過程と、人々が過去の傷を乗り越えて成長していく姿の両方を楽しめる作品です。



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