『本好きの下剋上』21巻の感想|Kindle Unlimited対象外でも買う価値はある?

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『本好きの下剋上』の書籍化小説版をKindle Unlimited読み放題で読み進めていた私。

ところが現在Kindle Unlimitedで読めるのは途中まで。続きは電子書籍を購入して読むことにしました。

今回は書籍化小説版第21巻にあたる「第四部 貴族院の自称図書委員IX」を読んだ感想を紹介します。

WEB版にはない書き下ろしエピソードも収録されているので、「WEB版を読んでいるけれど、わざわざ書籍版も買う価値がある?」と迷っている方にも参考になればと思います。

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※ここから先は第21巻および、それ以前の内容についてネタバレを含みます。

『本好きの下剋上』21巻はどんな巻?

第21巻は、第四部「貴族院の自称図書委員」の最終巻。

この巻でやはり大きいのは、フェルディナンドがエーレンフェストを離れ、アーレンスバッハへ向かうこと。

フェルディナンドとローゼマインの別れを中心に、それによって周囲の人々がどう感じ、どのように変化していくのかも描かれています。

WEB版でも読んだ内容ではあるのですが、書籍版には別人物の視点から描かれた書き下ろしSSが追加されていて、「あのとき、この人はこんなことを考えていたのか」と物語がさらに広がります。

WEB版にはない「ハルトムートの努力とご褒美」が面白い

書籍版第21巻には、WEB版にはない書き下ろしエピソード「ハルトムートの努力とご褒美」が収録されています。

相変わらずというか、ますますというか……。

ハルトムートのローゼマイン信者っぷりが暴走気味です(笑)。

そんなハルトムートに若干引いているローゼマインとの温度差が面白く、何度も笑ってしまいました。

そしてタイトルにもなっている「ご褒美」。

ローゼマインからすると「それがご褒美になるの?」というようなものなのですが、ハルトムートにとっては大変なご褒美。

しかもこのエピソードが単なるおまけではなく、後の物語にもつながっていくところが『本好きの下剋上』らしいところ。

何気なく読んでいたエピソードが、後になって「ああ、ここにつながっていたのか!」となるのが面白いんですよね。

リヒャルダ視点「息子の出立準備」でユストクスの過去がわかる

「息子の出立準備」は、リヒャルダ視点のお話です。

予定より早くアーレンスバッハへ向かうことになったフェルディナンド。その側近であるユストクスも同行するため、出立の準備を母親のリヒャルダに手伝ってもらいます。

私は以前から「ユストクスはどういう経緯でフェルディナンドに名捧げをしたのだろう?」「母親であるリヒャルダは、それをどう思っていたのだろう?」という部分が気になっていました。

そのため、このエピソードは「なるほど、そうだったのか」と興味深く読みました。

そして最後はちょっとうるっときます。

しんみりするだけではなく、最後までユストクスとリヒャルダらしいやり取りなのも良かったです。

またここではゲオルギーネに対するリヒャルダの思いも描かれています。

本編ではフェルディナンドやローゼマイン、ジルヴェスターにとって敵となるゲオルギーネ。

そんな彼女についても、リヒャルダという別の立場の人物から見ることで、ほんの少し違った面が見えてきます。

フラン視点「思い出と別れ」ではフラン自身の変化も

「思い出と別れ」はフラン視点です。

神殿から去ったフェルディナンドを見送った後、奉納式の準備を進めるフランのお話。

ここではフランの過去や、これまでに彼の身に起きたこと、そして現在の心境の変化が描かれています。

フランはローゼマインにとって非常に頼りになる側仕えですが、普段は感情を大きく表す人物ではありません。

そんなフランの内面を知ることができて嬉しかったです。

そしてこのエピソードは、先々のフランの未来を良い意味で暗示しているようにも感じます。

本編だけを読んでいると見えにくい人物の心情が、SSによって補完される。

これも書籍版を読む楽しみの一つだと思います。

「埋まらない穴」でわかるフェルディナンドの存在の大きさ

「埋まらない穴」はジルヴェスター視点。

フェルディナンドがいなくなって初めて、ジルヴェスターがその存在の大きさを実感していくエピソードです。

フェルディナンドは、領主一族の中でも実務能力が突出していて、何か問題が起きればいつも頼れる存在でした。

その人物が突然いなくなる。

仕事の面だけではなく、ジルヴェスター自身にとっても非常に大きな穴が空いたことが伝わってきます。

この話を読むと、ジルヴェスターってすごく人間っぽくて、情の深い人なんだなとあらためて思いました。

またヴィルフリートと自分が似ていると考える場面も興味深かったです。

ジルヴェスター自身にも未熟だった時代があり、だからこそヴィルフリートについて思うことがあるのでしょう。

本編では領主としてのジルヴェスターを見ることが多いですが、こういう内面が描かれると人物像にさらに厚みが出ます。

フェルディナンドとローゼマインのお守り交換が尊い

そしてフェルディナンド好きとして外せないのが、イタリアンレストランでの食事の場面です。

フェルディナンドとローゼマインがお互いにお守りを贈り合います。

普段のフェルディナンドは、うれしいことがあっても感情を大きく表すような人物ではありません。

ところがこのときは、ローゼマインにも「とても喜んでいる」とわかるほど。

ここがとても良かった!

恋愛的な意味ではなく、この時点ですでに二人がお互いをとても大事な存在として思っていることが伝わってきて、ほんわかしました。

ただし。

本人たちにとっては「大切な相手にお守りを贈った」という感覚でも、周囲の貴族から見ると、かなり特殊な光景だったことがSSを読むとわかります。

そのお話は「忙しい冬の始まり」SSで、WEB版にも書籍化小説版にも収録されています。

魔力を持つ貴族社会では、私たちが考える「お守りを交換する」とは意味合いが違うんですよね。

こうして別の人物の視点から同じ出来事を見ることで「あの場面って、周囲からはそんなふうに見えていたの!?」と気付かされる。

こうした視点の広がりも『本好きの下剋上』の面白さだと思います。

一番印象に残ったのはフェルディナンドとの別れ

そして第21巻で最も印象に残ったのは、やはりフェルディナンドとローゼマインの別れ…。

エーレンフェストを去るフェルディナンドに対し、ローゼマインは神殿長だからこそ知る全属性の魔法陣を使って祝福を送ります。

この場面はWEB版にもあります。

それでも書籍で改めて読むと、やっぱり胸にくるものがありました。

それまで多くの祝福を行ってきたローゼマイン。

ただこのシーンではこれまでの祝福とは違う、全属性の祝福でこの後の物語でも重要な意味を持ってきます。

この場面だけの華やかな演出ではなく伏線的な意味のある、印象的な祝福でした。

エピローグではフェルディナンドの思いが胸に刺さる

第21巻のエピローグは、WEB版第459話「閑話 ゲドゥルリーヒとの別れ」を書籍版のエピローグとして収録・改稿したものです。

ここではフェルディナンド側から、エーレンフェストとの別れが描かれます。

フェルディナンドにとって、エーレンフェストという土地がどれほど大切な場所だったのか。

それがわかるからこそ、それでもアーレンスバッハへ向かうことを受け入れた彼の決断が、とても苦しく感じました。

ローゼマイン側から見た別れだけではなく、フェルディナンド側からも読むことで、あの別れの重さがさらに増します。

カラー口絵もフェルディナンド好きにはたまらない

そして第21巻はカラー口絵も良いです!

描かれているのは、フェルディナンドがローゼマインに自分の館の鍵を渡す場面。

別れを目前にした場面なので寂しいのですが、それ以上にとても美しいイラストです。

さらに表紙ではタイトルに隠れてしまって見えにくいユストクスとエックハルトも、カラー口絵の裏側にあるタイトルなしのイラストではしっかり見ることができます。

電子書籍で読んでいると表紙だけをさっと見て本編へ進んでしまいがちですが、ぜひイラストもじっくり見てほしいです。

WEB版を読んでいても書籍版21巻を買う価値はある?

結論から言えば、

あります。私は買って良かったです。

本編の大きな流れについては、もちろんWEB版でも読むことができます。

しかし書籍版では、

「ハルトムートの努力とご褒美」
「息子の出立準備」
「思い出と別れ」
「埋まらない穴」

など、別の人物の視点から描かれたエピソードが加わっています。

『本好きの下剋上』は、ローゼマイン本人が知らないところで動いている人物や出来事が非常に多い作品です。

だからこそSSを読むことで、本編で点だった出来事が線につながったり、キャラクターに対する印象が変わったりします。

「WEB版を読んだから、同じ話をもう一度買うのはもったいないかな?」

と思っている方でも、こうした追加エピソードを読みたいなら書籍版を購入する価値は十分あると思います。

Kindle Unlimited対象外でも21巻は読んだほうがいい!

私は『本好きの下剋上』の書籍化小説版をKindle Unlimitedで読み始めました。

読み放題でこれだけの長編を読めるなんてありがたい!

……と思っていたのですが、当然ながら続きを読みたくなります。

そして読み放題対象ではない第21巻以降をどうするか?!

答えは簡単。買いました(笑)

しかも第21巻だけでは終わらず、その先も購入することに。

第21巻は第四部の締めくくりであり、フェルディナンドとの別れという大きな転換点でもあります。

ここまで読んできた人が「Kindle Unlimitedの対象外になったから、ここでやめようかな」と思っても……。

たぶん無理です(笑)。

それだけ続きが気になる巻ですし、WEB版にはない書き下ろしエピソードも楽しめます。

Kindle Unlimited読み放題対象外でも、第21巻は購入して読んで良かった。

これが、実際に読んだ私の結論です。

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